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私の家庭 初めて見た、母の嘆き

初めて見た、母の嘆き

 私は、これ迄に母の涙を見たことが無い。

 あ、厳密に言えば、笑い過ぎて御腹が痛いと
必死に訴えて、涙を流すと言う姿以外である。

 父が、母を迎えに玄関へと元気に出向いた
はずだが・・・

 私の眼に写ったのは、父の胸中で『おぅ♪
おぅ♪』と泣き崩れている母の姿であった。

 私・・・、動けなかった・・・。

 そして私の意志とわ別に、体が動き出す。

 父の胸に、すがるように居る母の後ろから、
母の背中に抱きつき、私も泣いてしまった。
泣くつもりなど、一切ないのに・・・。

 どれくらいの時間が経っただろうか?凄く
長かったような感じもするけど・・・。

 落ち着きを取り戻した私は、「充(あたる)
さん、忍(しのぶ)さんを部屋まで、連れて
行ってあげて下さいな」そう言いながら涙を
拭き、私は、台所へとりあえず戻った。

怖かった・・・。

 あの母が、泣いている・・・。
笑顔を絶やしたことが無い、あの母が・・・。
性格だって、この私以上に明るい母が・・・。

 私は、流しで顔を軽く洗って、母の部屋に
向かったが、部屋の扉が開いていたけども、
それ以上に中へは、入れない・・・。

 入口で、壁にもたれかかり、父が母の髪に
触れようとする所を見ているだけである。

 再びに、自分の意思と異なる自分が、ふと
思い出したように、父に声をかける・・・。

「そっとしてあげて下さいな」

 その声に、父が、驚いたように反応して、
母の髪にと、触れようとしていた手を、慌て
引っ込めた。

焼けちゃう・・・

 私は、台所へと戻り、父が行うべく餃子の
皮包み分を、片手に取って、更にもう片方の
手で、既にできている餃子の皮包み分を、
『ほっとぷれーと』の上に置いて行く・・・。

 『じり♪じり♪』と音を立て焼けている。

 さっきまで、あんなに楽しかったんだよ?

 ・・・不思議な感覚だった。

 椅子に座り、餃子を包み、焼き具合を見て
いるのだけども、私の体が宙に浮いている。

 私、どこかに行ってしまいそう・・・。

油断大敵!

 宙に浮いた私の体も、さすがに目の前で
焼きあがってゆく、芳ばしぃ~匂いがする
餃子の前では、我にかえるのである。

 餃子が徐々に焼け上がると同じく、徐々に
私の気持ちが、食欲へと・・・w

 さっき迄の・・・
      あれは、あれ!
          これは、これ♪

 父の戻る前に、味見をするのである!
乙女の食欲には、期限が無いのである♪

 「はぁふ♪、はぁふぃ♪はぁふぃ♪」

 出来立ては、熱いが美味しいのである♪
っと、なぜゆえに、こう言う時に限って、
現れるのかな、我が父よ!

 ・・・Σ(〃▽〃)♪

 重い陰を背負って、台所に入って来るや、
いきなり私と目が会えば、にや♪にや♪と
不適な笑みを浮かべて、幽霊にように足を
使わず前進して来るような、只ならぬ妖気
と共に、私へと迫ってくる、あの気迫・・・。

「ほぉれ、ほぉぃふぃ~よぉ!ほぉれぇ~♪、
ほぉぃひぃ~って♪ほぉれぇ♪ほぉれぇ♪」

 豹変した父に、弁明わ通用しなかった・・・w

 軽く両手で首を締め付けてきたと思えば、
その父の手を、取り払おうと脇を空けたのが
乙女の不覚!

 父による狙いの本命は、私の脇の下だった!

 ゚( ゚^O^゚)゚。ぎやはははは・・・w

 口の中に確か、美味しい餃子が入っていた
筈だけど、飲み込んだ記憶がなく、口の中に
すら残って無い!!!

 ・・・(T▽T)あはは!

 擽られ、快感と言えず、苦痛とも言えない
眼(まなこ)で、父の顔を見たならば・・・、
なにやら餃子の具が散乱して、へばり付いて
いるでわないか・・・爆

 (∇〃) .。o(わ、わ、わたしのせいじゃ無い!)

 し、し、っし・・・しかし、更なる笑いが、
下っ腹から込み上げてくるぅ~♪ひぃ♪ひぃ♪

 二人は、なんとか餃子を食べ終わり、各々
寝室(兼部屋)へと入っていったのである。